2巻
遙か凍土のカナン 6
時に、一九〇七年冬。 身重の妻を救うため、中央アジアを再訪した新田良造を待ち受けていたのは、“赤毛の族長(ジニ・イスカンダル)”の銃口と、自らを愛した“天使(ジブリール)”の見る影もなくやつれ果てた姿だった――。 大立ち回りの末にジブリールを強奪し、帰途についた良造だったが、チタで異常気象による大雪に見舞われ、シベリア鉄道が封鎖されてしまう。 それでも帰路を急ぐ良造は、自作の橇で一路プーチンスクを目指す。 懐かしい家で帰りを待つのは彼女ではなく、彼の心を凍てつかせる哀しき報せだとも知らずに……。 芝村裕吏×しずまよしのりが贈る『マージナル・オペレーション』前史、ついに佳境突入――!