黄昏流星群 54
僕の一目惚れでした。無口な彼女と、たくさん話をしました。彼女は、毎日僕の帰りを待っていてくれました。食欲のない彼女のぶんも、一緒に冷やし中華を食べました。歩かない彼女を助手席に乗せて、海を見に行きました。僕が死んだら、一緒に棺に入る約束をしました。いいことのなかった50年の人生で、初めての幸せでした。色が白くて優しくて、彼女は、彼女は―――愛したひとは、人形でした。ラブドールとの純愛を描いて大反響を読んだ表題作『星田一夫さんの幸福』のほか、母の介護に追われる女性が出会う奇跡『虚星の真実』、冴えないロートル漫画家の不思議体験『虚星の真実』の計3篇を収録!
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